僕らのアナザーリアリティ
『梨斗の栗鼠(リス)は、大事なものは色んなところにしまっちゃうところと仕草が小動物っぽいところから。柚木の兎は、ほんとは寂しすぎると死にそうになっちゃうところから。歩の狼は、仲間を大切にするところと笑顔の下に隠してる鋭いところ。あともうひとつあるんだけど...ね?』
「何だよ、はっきり言えって!!」
『...歩のために対象は言わないけどさ。男は狼って言うでしょ...。』
「「あ~...。」」
「って柚木!何でお前まで反応すんだよ!!」
「だって歩分かりやす過ぎて。逆に何で梨斗が気づかないのかが不思議なくらいだよ。」
「うぐっ...」
『はいはい。これぐらいにして早くそれつけてみて下さい。』
「ごめんごめん。2人して何騒いでたのさ。ほら柚木、歩?」
「「((やっぱ梨斗はニブすぎるよ))はぁい...」」
スチャッ...
「「「...えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」
本日2度目の絶叫ならぬ今度は雄叫び。
さて、皆さまにも状況が分かるように説明致しましょう。
さっきのケモミミを装着した瞬間カチューシャの部分が消え去り、3人の頭に直接ケモミミがくっついたのです。しかもこのケモミミ思ったように動きます。そのかわり顔の横についていた本来の人の耳は消え去り、後ろを見てみるとそれぞれの動物の尻尾が生えていました。もちろん自由に動かせます。まぁ耳も尻尾も軽くデフォルメされてはいましたが。
まぁそんな訳で
「何だよコレ!?尻尾生えてきたよ尻尾!!てかケモミミも生えてるしよ!!俺の元の耳どこだよ!!」
とまぁ普通こうなりますよね。
『歩落ち着いて。その尻尾と耳はケモミミが外れると元に戻るから安心して。ちなみに両方のケモミミを同時に引っ張るとケモミミカチューシャは外れるから。それよりもそろそろ向こうの世界に皆を連れて行っていいかな?』
「そうだよね?待たせてごめんね??僕たちは大丈夫だよ(ニコッ)」
『///そっそれじゃあ行きますよ。』
ソランは手を翳し、僕らを包み込むほどの光の球を作りだした。
そして、僕らを包んでいた光の球がまた、パァン、と散ったとき、僕らは初めてソランのいう“向こうの世界”を目の当たりにした。