僕らのアナザーリアリティ
ぐるるるるるる...
「??何の音...」
そのとき黒い“モノ”から触手のようなものが伸びてきて梨斗の体を包み込み、ものすごい力で引っぱり始めた。
「...くっ!!かはっ...」
「「リト!!」」
焦る2人の思いとは裏腹に、黒いモノがギリギリと梨斗を締め付け、梨斗が限界を迎えようとしたとき...
コォォォ...
「「!?」」
グァァァァァ!?
「!?何で僕光って...」
黒いモノに締め付けられて限界を迎えていた梨斗の体は急にオレンジ色の光に包まれ、体を締め付けていた黒いモノはこの世のものとは思えないような悲鳴をあげながら離れていった。
「っリト!!大丈夫か!!」
「平気だよ。でもさっきのは一体...」
『さっきのは』
「「「!」」」
(さっき聞こえた声だ!!)
『さっき梨斗を包んだ光は梨斗が覚醒した証』
「君は誰??何で僕の名前を知ってるの??」
『私は...』
謎の声が正体を明かそうとしたそのとき、黒いモノがまた触手のようなものを伸ばしてきた。
「っ!?危ない!!」
パアァァァッ...
あたり一面が強い光に包まれ、3人は思わず目を瞑った。
(何も起こらない??)
黒いモノがこないことを不思議に思った3人が目を開けると...
『梨斗、柚木、歩、3人とも大丈夫??』
先程聞こえた声で話す華奢で小柄な、一見すると男か女か分からない少女?が梨斗たちの前に立ち、黒いモノから3人を守ってくれていた。
「君があの声の正体なんだね!!」
彼女?はコクリと頷き
『詳しい話はあとで。3人はここに居て。私はアレを片付けてくるから』
「えっ!?危ないよ!!」
梨斗たちが制止するが、彼女?は微笑み、大丈夫だからと言ってふわりと浮き上がり、黒いモノに向かっていった。