Colorful
太陽の反射もあって、
よくは見えないが取ってくれた人が
こちらを見上げたのに気が付いてからはっとして
「ご、めんなさい、すぐ行きます・・・っ」
私にしては大きな声で告げて、ベランダを出る。
フォトアルバムを下駄箱の上に置いて、
目の前の出しっぱなしだったチョコレート色のサンダルに足を入れて玄関のドアを開くと
「わぁっ!」
すらっとした人影が現れた。
「びっくりしたぁ…。どうしたの?」
私の唯一無二の親友、
「あ、藍衣ちゃん、ごめんね、ちょっと…!」
ちょっと桃香!?という藍衣ちゃんの言葉を背中で聞きながらエレベーターホールへと急ぐ。
藍衣ちゃんが降りてから下ったらしいエレベーターは「→1」と表示されている。
エレベーターが上がってくるの待ってるより階段で降りた方が早いよね、なんて自分で確認して、
隣にある階段を下ってすぐに後悔する事になった。
(不登校兼引きこもりの私に、4階から1階までを階段で降りるなんて無理があったかな…。)
それでも、私の不注意で関係の無い人の足を止めたのだから
白のワンピースを翻して、背中がすっぽりと隠れる長い髪を揺らせて足を速める。