片腕の彼に恋しちゃいました。
私はすぐにボタンを押した。



〈どうした?〉



びっくりしたように病室に入ってきたのは



マキのお父さんだった。



「マキが!
目覚ましました!」



〈…!〉





人口呼吸機を外されたマキは



酸素マスクをつけられた。



「楽になった?」



マキは軽く頷いた。



〈これ見えるか?〉



お父さんは、マキの目の前に



手を出した。



〈…あぁ。〉



〈じゃあ、右手を握って。〉



マキの右手は、



ピクッピクッとは動いたが



ギュッと握る動作が



できなかった。
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