片腕の彼に恋しちゃいました。
『ちょっと待ってろ。』



峻稀は玄関の戸を開けた。



私は気になって



峻稀をずっと見ていた。



戸の奥にいたのは、



見たことのない、坊主頭で



黒いサングラスをした人がいた。



何話してるんだろ?



気にはなるが、



ここまで声は聞こえて来ない。



〈じゃあ。〉と言うように手を挙げて



帰っていった。



「…今の誰?」



『誰でもいいだろ。
お前には関係ねー。』



…お前ー…



峻稀が私のことを呼ぶ時



『お前』なんて言葉を使うことは



めったになかった。
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