片腕の彼に恋しちゃいました。
私は目のやり場に困って



うつむいた。



『…あ。わりぃ。』



峻稀はそう言うと



また上着を着た。



「いや…別にいいの。
今初めて知ったから…。
ちょっと、ビックリした…だけだから。…」



『そうか…。』



峻稀はそれ以上



何も言わなかった。



……………



「私、帰るね…。」



『あぁ。送ってくか?』



「大丈夫!
一人で帰れるから!
じゃあ!」



『おぉ。』



私はそそくさと



峻稀の部屋を出た。



峻稀…左腕どうしたんだろ…。



事故?それとも………。



帰りは峻稀のことで、



頭がいっぱいだった。



話してほしい……。



峻稀。…何があったの……。



………教えてよ。



私には、いつの間にか



峻稀のことをもっと知りたい



という気持ちが芽生えていた。
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