*無口なキミの甘い言葉*



「菜子」


そんなあたしを見ながら隆史くんは何度もあたしの名前を呼んでくれた。


「恥ずかしいよ。隆史くん…」


真っ赤になっている顔を隠すように俯きがちにそう言った。


「なんで下向くんだ?」

「だって、顔赤いもん…」


恥ずかしくてそう言ってると、隆史くんは顎に手を添えてあたしの顔を上に向けた。


「顔の赤い菜子もカワイイな」

「た、隆史くんっ…」


そんなこと言われたらよけいに赤くなっちゃうよ。


「菜子」


──ドキン


隆史くんはあたしの名前を呼んで顔を傾けてきた。


わわっ。
あたしキスされちゃうの?


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