小林くんの家庭の悩み
小林家では第一子の家系は必ず何らかの能力を持つ子が産まれる。

男女問わず、第一子以外血筋では、子供は能力に目覚めない。

小林家の秘密を守る為、父も婿養子になっていた。

能力者が父ならば、母:美和子の浮気の可能もあった。

しかし、そうではない。

惣一郎が12歳の頃、1歳になる葵に、能力の兆しが見えた。

初めて、プラスチックのスプーンを破壊したのだ。

惣一郎は思った。

『(自分は何故何も不思議な力がないんだろ…)』

夜トイレに起きた惣一郎に両親達の話声が聞こえてきた。

『なんで葵ちゃんにも能力が目覚めてるのに、惣ちゃんだけが…』

『本当に必ずなのかな…全員能力が…一人位は今までにも…』

『いや、家系図には全員能力が書かれてるじゃろ。
能力がなかった先祖の話は、ワシも聞いた事がない…
同じ能力者が産まれる事はあったが…。皆、能力者じゃった…。』

『僕はここの本当のコじゃないんだ!』

惣一郎は、大粒の涙を流しながら叫んだ。

『惣一郎!起きて…聞いてたのか?』

宏司が気不味そうに答えた。

『本当の子供じゃないから、だから不思議な力が何もないんだ!』

……
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