3週間の激恋
こんなに自分の名前を呼ばれて嬉しいと思ったのは4年生以来だよ。


火照った顔を両手で隠しながら階段をイッキに駆け下りた。


「キム、待ってー!」


後ろから聞こえてくる望たちの声なんか関係なしに、教室まで走った。


この時のあたしは何で「次頑張って」って言われたのか良くわかんなかった。


奈美に聞くと、「次体育やけん。」


あぁ、そういうことねって感じ。


「頑張って」って言われたからには頑張らないわけにはいかない!


体育はバスケの試合、必死に走り回って一生懸命パス回して。


最後の試合の時、最初のシュートのチャンス。


「キム!」


麗香があたしにボールを渡す。


ゴールと距離が近くて入らないかもと思いながらも「入って」そう願いながら投げたら・・・。


奇跡的に投げたボールは真っ直ぐゴールの中に入ってくれた。


「イェーイ!」


クラスのみんなからそんな声が聞こえてくる。


あたし、自身も嬉しかった。


多分、先生のお陰だな。



それからの授業は全部ハッピーな気分で過ごせた。


でも、また嵐が帰ってくる・・・。


給食の時間。


戸川先生は菊池先生の助手みたいな感じだから、給食はいつも4組のメンバーと食べる。


今日は羨ましい限り・・・。


奈美の班で一緒に食べることになったみたいで・・・。


しかも、羨ましいのはそれだけじゃなくて・・・。


戸川先生が座ってるのは奈美の目のまん前!


あたしでもこんなに急接近したことはないのに・・・奈美がそうとう羨ましい!


「いいなぁ、奈美。」

「何が?」

「そこの席~。」

「いいやろー。」


先生がいないのを見計らって、奈美と話した。


しかも奈美の後ろは望。


しかも!奈美と同じ班なのは佐奈も!


3人とも羨ましいよ・・・。


奈美の班は1番端、あたしの班も1番端・・・。


しょうがないと思って、食べ始めたとき、望たちがあたしの方を見てニヤニヤする。


奈菜も茉里もニヤニヤしてる・・・。
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