3週間の激恋
奈菜と望が「先生、早く。」とせかす。


奈美たちの時と同じように先生は恥ずかしそうだった。


すると・・・。


「香、バイバイ。」


はっ!?今、何て言った!?「バイバイ」!?


先生がそう言った瞬間、奈菜と望もすごくビックリしてた。


自分たちで仕組んだことなのに。


3人ともビックリと興奮が混ざって、3人でトイレに駆け込んで「ヤー!ヤバくない!?」


そう叫んだ。


「ヤバい、興奮してきた。」


望は先生を好きでもないのに、興奮してきたみたい。


しかも、あたしは肝心なところが聞こえてなくて。


てっきり、普通に「バイバイ」って言ったのかと思って、奈菜に聞いたら。


「香、バイバイ」って言ったんだよって言われてもっとテンション↑↑!


家に帰っても、興奮は止まらなくて、誰かにこの話をしたくて、兄ちゃんの部屋に駆け込んだ。


「なぁ、ウチの自慢話聞いて!」

「何?」


兄ちゃんはいつもどおり、パソコンでゲーム中。


「ウチ、今好きな人おるんやけどな。」

「うん。」

「それがな、教育実習生の戸川健太っち人なんや。」

「うんっ。」


兄ちゃんは何故か笑ってる。


あたしが先生を好きなのがおかしくて笑ってるのかとあたしは思ってた。


「でな・・・。」


今日あった嬉しい出来事を全部話すと、兄ちゃんの口から発された言葉は・・・。


「ちなみに、これマイク。」


兄ちゃんが指さした場所を見ると、薬のビンの蓋の上に小さな黒い物体があった。


「えっ?・・・えー!?もしかして、聞かれちょったん?」

「うん、3名に。」

「はぁ?えー!?」


驚きのあまり、「えー!?」としか言いようがなかった。


やっと、兄ちゃんが話し出してから笑ってる理由が分かった。


「何で言ってくれんかったん!?」

「お前、しっちょんかと思ったけん言わんかったんやわ。」
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