3週間の激恋
「向こうの校舎のトイレ行こう。」

「でも、そこ窓から見られたら終わりやけん、やめちょこう。」


いつもならあたしの方が引っ張るほうなのに、今日だけ麗香に引っ張られてる。


「もう戻る?」

「でも、戻ったらもう出て来れんよ。」

「そっか。どうする?」

「いいや、戻ろう。」


あたしと麗香も3分間ぐらい外でサボって部屋に戻った。



そして、帰り。


今日は「おはよう」も言ってない。


一言も喋ってない。


しかも、1日中1組にいたから鉢合わせすることもない。


今も、1組の教室にるから「バイバイ」も言えない。


「言わんの?」

「うん、いいや。」


あたしは、そういうと教室から出てきた戸川先生の前を通り過ぎた。


バカみたい。


っていうかバカ。


距離開かれてんの分かってんのに自分でもっと開くなんか・・・。


バカ!アホ!



「あ、理佐。」

「お、香~。今日どうやった?」

「今日は一言も喋ってない。」

「そうなんや。あ・・・。」


コンテナに行くと理佐と理佐の友達の桃が一緒にいた。


少し、理佐と話したあと戸川先生があたしの横を通り過ぎた。


構ってもらえるなんて思ってないのに・・・。


分かってるけど、凄く悲しかった。


存在を無視されてるのが凄く悲しかった・・・。


「今、行ったよ?いん?」

「いいよ、別に。何か今日冷たいし・・・。」

「よしっ。あたしと桃で職員室行ってくる!」

「ちょっと!余計なことせんでいいけん!」


止めても無駄だった。


面白がってる2人は靴を脱ぎ捨て職員室まで走っていった。


それから5分ぐらいたったかな。


最初の方は先生の姿もチラチラと見えたけど、今は見えない。


「大丈夫」と自分に言い聞かせて隣にた花と一緒に職員室に入った。


すると・・・。


「あ、香。今、どっかいっちょんよ。残念やったな。」


理佐と話してたのはもう1人の教育実習生の山森恵子ちゃん。


教育実習生の3人は全員同い年の21歳。
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