眠り姫~sleeping ready~
「あ、あのっ…」

「ヴァイオレットなぜ顔をそらす?」


ヴァイオレットは黙ったままうつ向いた

理由など簡単

レイの顔を見てしまうたび、重なってしまう

ユウリ様に


「……」

「…話せないか…」


なんとなくレイもわかっていた

―ユウリを思い出してしまうか…


それほどまでにヴァイオレットはユウリを愛していた

その子孫を見るたびにヴァイオレットの心が締め付けられる

「陛下…なぜ毎日私の様子を見に?」


「城に知人はいないだろ?だからせめて俺が話し相手になろうかと」


レイはヴァイオレットの長い髪を指でサラサラと触る

ヴァイオレットはその手を見ていた
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