眠り姫~sleeping ready~
「昔に?」


レイはヴァイオレットの長い髪を指に絡めて話を聞いた


「うっすらと…昔を思い出します。泣いていました」

「泣いていた?」


「はい…ユウリ様が」


ユウリの名前を出したときにレイは眉間に皺を寄せた


「そうか…だから起きたときに名前を…」


「えっ?」


小さな声でヴァイオレットには聞き取れなかった


ヴァイオレットはレイがなぜ眉間に皺を寄せているかなど、わかりもしなかった


「ヴァイオレットもう休むといい。おれは失礼するよ」


「えっ?あ、はい… 」


急な退室に戸惑ったが、素直に返事をかえす

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