臨終
臨終



紫煙を燻らせていた雲母を見て、日湯は口元を歪ませた。


「あんた、中原中也に似てるね」


雲母は、半開きの死んだ目を日湯に向けて、何を言う出もなく瞬きを繰り返す。日湯は「なんとかお言いよ」と再度口を開いた。

すると雲母はタバコを佗わえて灰皿の縁を指で撫で、「だれだい、それ」


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