臨終



「詩人だよ」
「しじん、ねえ」
「夭折の天才さ」
「いくら天才でも、夭折しちゃあ、悲しいなあ」
「ふうん?」

日湯は視線を外し、窓枠に積もった埃を指で撫でる。
雲母はまた紫煙を吐き出した。

「どこが、似てるうの?」
「……お前の世界が、中也の詩の世界と」
「それだけかい」
「それと、顔かな」
「へえ、写真があるの」
「白黒のな」

ふんふん、と、人間嫌いの雲母にしては珍しく、日湯の話に耳を傾ける。
日湯は不思議そうにその詩人について話した。




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