臨終


それならば、男勝り、と呼ばれる自分の方が余程は似合うだろう。

日湯は雲母から煙草を奪い取りたい衝動に駆られた。

す、と彼の口元に手を持って行くと、死んでいる目に何の用か、という色を浮かべ、手を見つめられる。
日湯はそうっと、煙草を摘んで引き抜いた。

「なんだい」
「中也はね、」
「…………」

問い掛けを無視して、奪った煙草を口に持って行く。
雲母は怒りもせず、ただ沈黙を下ろした。





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