図書室とタオルケット
始業式に出席するのが面倒くさくなった私は、反省文を書かされるの覚悟で保健室に入り浸ってコーヒーをすすっていた。
「杏!またサボリ?」
声がする方を振り返ると保健医の咲恵先生が校内の見回りから帰って来たみたいだった。
「だるい」
私はそう言って天井を見つめた。
咲恵先生は私が一番信頼している人だ。お姉さん的存在だった。
「今年の新任の先生みた?」
「見てない。興味ないし」
「今年の現社の先生イケメンらしいよ」
咲恵先生はベッドの布団を干し始めた。埃に太陽の日差しが当たってキレイだった。
「杏、進路どうすんの?」
「とりま就職かな」
私は長くなった髪をいつ切るか考えていた。
正直、就職に目を向けたくなかった。だから結局、中退せずにここまで来たのだろう。
私は中退の勇気が出ずに逃げ出したのだ。