図書室とタオルケット
俺の家は育児放棄家庭だったから俺が何とかしないといけなかった。
だから俺は学校に何度も何度も助けを求めた。
教育委員会にも電話をかけた。
それでも俺たちを助けてくれる人はいなかった。
俺は必死になった。そんなある日、弟が家に帰ってこなかった。
俺はいろいろな場所を手当たり次第に探し回った。
それでもあいつはどこにもいなかった。
結局弟は手足に重りを付けられたまま近所の池に沈められていた」
その言葉と同時に中原の瞳から幾粒もの涙があふれ出した。
私はただそんな中原をきつく抱きしめた。
なんでそんなことをしたのか自分でも分からなかった。
「俺は、俺は・・・」
中原の声は震えていた。
「俺は唯一の家族を救えなかった」
またしても中原の瞳から大量の涙が零れだした。
その涙はカーテンの隙間から射す木漏れ日できれいに光っていた。