白衣の天使
「ママ!早くしないと置いてくよ~」

声の方を見るとマリアとロイドが遠くの方でこちらを見て叫んでいる。

カトレアは急いで走って、二人に追いつくと

「どうしたの?ぼーっとして??」

と、マリアがカトレアを覗き込んだ。

けれど今のカトレアには


「・・・寝起きだったから・・・」


そんな言い訳が精一杯だったのである。

車に乗り込んでからもカトレアはそんな調子で、何かを考えているように黙っていた。

そんなカトレアが気になるのか、気を利かせているのか、マリアは終始、後部座席から身を乗り出して話し続けていた。

けれど何を話ししていたのかカトレアの耳には届いていなかったようであった。

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