白衣の天使

「昨日の夜、子供達が寝静まった後に『院』に電話があったのです。

その直後、園長は急いで出ていきました。

それが私たちが見た園長の最後の姿です。」

カトレアの次の質問を察したのか、話に付け加えた。

「園長が電話を取ったので誰からかは分からなかったのですが・・・あまりヨソヨソしくない感じがしました。あと、外出する時は行き先を必ず言う園長なのですが・・・昨日に限っては・・・。」

言い終わると彼女の目には涙が浮かんでいた。

昨日ちゃんとセシルに『行き先』、『電話相手』を聞いておけば・・・という気持ちが痛いほど伝わってくる。

そんな彼女の涙が消えるのを待ち、カトレアは言いにくそうに用件を伝える。

「昨日園長に見せたいものがあると言われたのですが、何も聞いていないですか？」