白衣の天使
何とか上半身だけ起こす事ができたカトレアは、枕を背もたれにしてベッドに座り、マリアが来るのを待っている。

たまにはちゃんと起きて笑顔で

「おかえりなさい。」
と言ってあげたい。これが今のカトレアにできる精一杯の事であったのだ。

そしてカトレアの部屋に足音が近づき、扉が開いた。

「おかえりなさ・・・」

そこまで言うとカトレアは言葉を失ったのである。

カトレアの前に立っているのはマリアではなくニックであった。

「仕事が忙しくなってマリアは当分来れないらしいで・・・だからこれからはボクが来ますね。ご飯が出来るまでお義母さんは寝ててください。」

扉が閉まりニックの足音はキッチンへ向かって行った。
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