白衣の天使
紺色のハンカチを渡されたカトレアは、それをおでこにあてると、ハンカチに少し血がついた。

「あら、本当。ちゃんと洗って返しますわね。」

「家に帰ったらすぐに手当てしてくださいね。」

配達員と別れて、カトレアは家の扉を開けた。


入るとシーンと静まり返っている。

リビングに入るとそこには、白い服を来たマリアが立っていた。

うつ向いているマリアがゆっくりと顔を上げ、カトレアに何かを話ししている。

口は動いているが、何を言っているのかは聞きとれない。

マリアの口元を見つめてようやく分かったのは、最後の一言。


『あ・・・く・・・ま・・・』


その言葉を聞いた瞬間、銃声が鳴り響きカトレアは目を覚ました。
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