白衣の天使
扉の前でニックを見送ってから扉を閉めたマリアは

「さてと。」

と、振り返り、部屋からなにやら重そうなカバンを引っ張り出して、

「私も今日は職場に『泊まり』なの。だから今日はママ一人だけど大丈夫?何かあったらすぐに連絡してね。」

そう言いながらマリアも忙しそうに出ていった。

ついさっきまで、賑やかだったのがウソのように静まり返ってしまったなぁと思いながら、カトレアもこの日は予定があった事を思い出し、自分の部屋に用意をしに戻ったのだ。

部屋に入り、ベッドに腰を下ろした。

外出の支度をする前にカトレアはロイドの職場から持ち帰ってきた、あの写真に手を伸ばしたのである。

ついさっきのマリアとニックのやりとりを見たせいか、無性にロイドを見たくなったのであろう。

手に取ったアルバムを1ページづつゆっくりとめくっていった。

< 172 / 208 >

この作品をシェア

pagetop