白衣の天使
マリア目当てでやってくる患者も多い。足をすりむいただの、突き指しただの・・・。

決してラクな仕事ではないのだが、朝早い日、仕事が長引き遅くなった日でも、生き生きして笑顔を絶やすことはなかった。

仕事に一生懸命なマリアと、若い頃の自分が重なり、懐かしさを思い出していた。

マリアから仕事の相談を持ちかけられた時は、解決するまで一緒になって悩んだりする。

共に喜んだり、共に苦しんだり・・・そんなカトレアとマリアの親子関係は日に日に深いものへとなっていった。

きっとこのまま何事もなく、平和に過ぎていく。そう希望が確信へとなっていった矢先、

「実は・・・」そう言ってマリアは言葉を詰まらせた。

少し深呼吸をして

「パパとママに紹介したい人がいるの。今度の休みに連れて来ても良い?」と・・・。

確かにマリアはもう25歳。恋人くらい居てもおかしくない。けれど浮いた話が全くなかったマリアだけに、ロイドとカトレアは無言のまま目を合わし、二人は固まってしまったのであった。
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