白衣の天使
トッドの足が病室の前で止まり

「ここがニックの親友のジェフの病室です。」

そう言いながらトッドは扉をノックした。

ゆっくりと扉を開けると、そこにはベッドに男の人の姿。

こちらの存在に気付いているのであろうが、こっちを振り返る事なく、ジェフは身体を起こして窓の外を眺めているだけであった。

「あなたがジェフくんね。」

カトレアの問いかけにも微動だにしないジェフ。

その様子を見ていたトッドは

「やはりダメか・・・。私は外で待ってますから何かあったらすぐに呼んでください。」

半ばあきらめ気味にトッドは部屋を出ていってしまった。

扉が閉まる音が病室に響きわたった瞬間である。ジェフが口を開いたのは。

「お待ちしてました。」

今日カトレアが尋ねる事を知っていたかの様に、そう言いながらジェフはカトレアの方を振り返ったのだ。

そしてジェフはこう続ける。


「貴方は悪魔ですか?天使ですか?」



< 180 / 208 >

この作品をシェア

pagetop