白衣の天使
「えーと、シャロン・・・以前の婦長に会いたいのですが・・・。」

それを聞いて婦長は

「ああ!」

と、合点がいったようにうなずき

「シャロン婦長のお知り合いの方でしたか?もう10年になりますかねぇ・・・お辞めになって・・・。」

それもそうである。カトレアが辞めたときシャロンは40半ば。もう70歳近くなっている。

「そうですか。連絡先とか分かる方はいないかしら?」

半分あきらめ気味に尋ねると、少し考えているような表情を浮かべ、

「そうですねぇ・・・。そうだ!レイマン先生なら・・・」

レイマン・・・。聞き覚えのある名前である。カトレアの同期にいた新米医師の名前。気の弱そうな、でも優しく、おじいさん、おばあさんに人気があった。

そしていつもミスばかりで、良く怒られていたのを覚えている。

カトレアは婦長のモーリーに連れられ奥の部屋に通された。

「レイマン先生!失礼します。」

ドアを開けるとそこには、椅子に少し年をてった男が座っている。

白髪混じりの男性は眼鏡をかけ、昔とは違い威厳のある風格。カトレアの知るレイマンと同一人物とは思えないくらいであった。
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