白衣の天使
本当に我が子のように接していたのが彼女の顔を見ると痛いほど伝わってくる。

そんな彼女の表情を見て、カトレアは話をどう切り出せばいいのかと悩んでしまった。

言葉に詰まっているカトレアをよそに、セシルはその写真を手に取り、物思いにふけっている感じで、写真を眺めている。

「その日、アニーは・・・その女性は来なかったのですか?」

「・・・えぇ、そう。その日だけは現れなかったわ。」

いや、カトレアが聞きたかったのはその事ではなかった。けれどこのままでは帰れないカトレアは・・・

「・・・その・・・最後って・・・?」

そう聞かれることを予期していたのであろう。けれど思い出したくない思い出らしく、セシルは手に持った写真をゆっくり机に起き、ため息と共に少し沈黙が続いた。

よく見ると園長の目にはうっすらと涙が浮かんでいるようであった。
< 64 / 208 >

この作品をシェア

pagetop