ハルアトスの姫君―君の始まり―
【キースside】
「でもね…。」
「?」
なるべく優しく微笑みたい、そう思って口元を緩めた。
きょとんとした顔でジアが自分の瞳を見つめている。
「今は辛くないよ。」
「どうして?」
「俺の痛みを自分のことのように思ってくれる人がいるから。」
かつてもそういうヒトはいた。
思ってくれるその姿があまりにも似ていて混同しそうになる。
だけど、全くの別人だ。それはシュリ様に言われて納得したことだった。
「…独りで大丈夫だと思ってた、んだけどな。」
それは自然と口に出た。
「え?」
「ううん。独り言。」
「もう1回言ってよー!」
「俺の独り言なんて聞かなくていいよ。」
「シュリにもそう言われた…。時間くれればちゃんと考えるのに。」
ジアはぷうっと頬を膨らませて怒った表情を浮かべている。
そんな姿は『彼女』に全然似ていない。
なのに何故だろう?
ヒトを特別に想うことなど二度とすまいと心に誓ったのに、今の自分は確実に揺らいでいる。
そんな自分に嫌気がさすものの、想いそのものを否定する気になれない自分がいることは認めざるを得ない。
ふとジアを見ると、考えているのか悩んでいるのか、表情がくるくると変わっていた。
そんな彼女を見ていると思わず笑みが零れる。
「でもね…。」
「?」
なるべく優しく微笑みたい、そう思って口元を緩めた。
きょとんとした顔でジアが自分の瞳を見つめている。
「今は辛くないよ。」
「どうして?」
「俺の痛みを自分のことのように思ってくれる人がいるから。」
かつてもそういうヒトはいた。
思ってくれるその姿があまりにも似ていて混同しそうになる。
だけど、全くの別人だ。それはシュリ様に言われて納得したことだった。
「…独りで大丈夫だと思ってた、んだけどな。」
それは自然と口に出た。
「え?」
「ううん。独り言。」
「もう1回言ってよー!」
「俺の独り言なんて聞かなくていいよ。」
「シュリにもそう言われた…。時間くれればちゃんと考えるのに。」
ジアはぷうっと頬を膨らませて怒った表情を浮かべている。
そんな姿は『彼女』に全然似ていない。
なのに何故だろう?
ヒトを特別に想うことなど二度とすまいと心に誓ったのに、今の自分は確実に揺らいでいる。
そんな自分に嫌気がさすものの、想いそのものを否定する気になれない自分がいることは認めざるを得ない。
ふとジアを見ると、考えているのか悩んでいるのか、表情がくるくると変わっていた。
そんな彼女を見ていると思わず笑みが零れる。