ハルアトスの姫君―君の始まり―
「…どうかした?」
ジアの声がいつもより少し切羽詰まったものに聞こえる。
振り返り、裾を引くジアの右手を左手で優しく包んだ。
「ジア?どうしたの?」
問いかけてもジアは少し目を泳がせたままだった。
触れた手に少しだけ力を込めた。あまりにも自然に力を込めた自分にやや驚く。
「ジア?」
「…いやだよ…キース。」
「え?」
「あたしはやっぱり…キースが敵になってても生きててくれればいいとか、そんな風には思えないよ…。」
「ジア…?」
困惑した。
ジアが何を言わんとしているのか見当もつかない。
「ただ…そばに…いてって言ったら…キースは困る?」
「え?」
「守ってほしいなんて言わないし、剣術を教えてほしいとも言わない。
だけど…キースにはいてほしい。あっ…あたしたちのそばに。」
ジアの金と銀の瞳が自らの瞳を捉えて離さない。
真っすぐで汚れを知らないその瞳は、少し眩しい。
それでも逸らせなかったのは逸らしたくなかったからなのだろう。
「さっきのキースの目…どこか遠くを見てる気がして…。」
ジアの指摘はなかなかに鋭かった。
『どこか遠く』、それは辿り着けない『遠い場所』。
どんなイキモノもいつかそこに辿り着く。
ならば今は…
ジアの声がいつもより少し切羽詰まったものに聞こえる。
振り返り、裾を引くジアの右手を左手で優しく包んだ。
「ジア?どうしたの?」
問いかけてもジアは少し目を泳がせたままだった。
触れた手に少しだけ力を込めた。あまりにも自然に力を込めた自分にやや驚く。
「ジア?」
「…いやだよ…キース。」
「え?」
「あたしはやっぱり…キースが敵になってても生きててくれればいいとか、そんな風には思えないよ…。」
「ジア…?」
困惑した。
ジアが何を言わんとしているのか見当もつかない。
「ただ…そばに…いてって言ったら…キースは困る?」
「え?」
「守ってほしいなんて言わないし、剣術を教えてほしいとも言わない。
だけど…キースにはいてほしい。あっ…あたしたちのそばに。」
ジアの金と銀の瞳が自らの瞳を捉えて離さない。
真っすぐで汚れを知らないその瞳は、少し眩しい。
それでも逸らせなかったのは逸らしたくなかったからなのだろう。
「さっきのキースの目…どこか遠くを見てる気がして…。」
ジアの指摘はなかなかに鋭かった。
『どこか遠く』、それは辿り着けない『遠い場所』。
どんなイキモノもいつかそこに辿り着く。
ならば今は…