ハルアトスの姫君―君の始まり―
「真っすぐさは似てるんだね。」

「え?」

「髪も目の色も話し方も違う。だけど真っすぐさはとてもよく似ている。
双子ってそういうところが似るんだね。」


キースは穏やかに微笑んでそう言った。
手はまた動き出し、ジアの頭を撫でている。


「ミア、お前もそろそろ休め。元々体力はそんなにある方ではないだろう?」

「え…?」

「ジアと比べたら、の話だ。
ジアよりも線が細い。それにお前に剣は似合わない。」

「…そうですね。どちらも否定はできません。」

「12時は越えている。もう休め。クロハもキースもだ。
ジアは…キース、どうする?」

「どうするも何も、ミアの部屋に運びますよ。」

「…妥当すぎてつまらんな。」

「俺に何を期待してたんですか?」

「期待などしておらん。」

「…おい、キース。」

「ん?」


キースはジアを抱いたまま、振り返った。
クロハは眉間に皺を寄せたまま、口を開く。


「…話がある。ちょっと顔貸せ。」

「そう来ると思ってたよ。ジアを置いてきたらすぐ戻る。」

「…まったく、これだから男はバカなんだ。」

「バカなイキモノなんです、男って。」


キースはシュリの暴言を笑顔でかわした。

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