ハルアトスの姫君―君の始まり―
ジアの左手に光る短剣。それは確実にチャーリーの喉元を狙っていた。
チャーリーがこのままジアの方に向かってくれば、確実に喉に刺さるような角度でチャーリーに向けられている。
チャーリーはごくりと息を呑んだ。
「…なるべくなら『殺し』たくない。
でも進むのを邪魔するのなら手段は選んでなんていられないわ。」
ジアの声が冷たく響く。
本当はこんなことしたくない、したくないのよ…チャーリー…ガルド。
心の中で二人の名前を呟く。
年齢が割と近い二人とは普通に話せる仲だった。
ジアを女だというだけで毛嫌いする隊のメンバーもいる中で、二人の存在はジアにとっても貴重だった。それに何より隊のメンバーに剣先を向けることは心苦しい。
手段を選ばないだなんて嘘だ。しかしそれを悟られているようではまるで進めないことも分かっている。
「あたしたちが通ったことは見なかったことにして。
それが約束できるなら剣を下ろすわ。
下ろした瞬間に襲ってきたって、あなたたちなら分かるわよね?どちらの実力が上、なのか。」
そんなことはチャーリーもガルドも分かっていた。
剣を抜くスピードも身のこなしもジアは隊の中で男に引けを取らないのだ。
二人が敵うものと言えば、パワーだけ。
この状況下においてパワーは何の役にも立たない。
つばぜり合いになった時にはパワーでジアを圧せるだろうが、今は剣を鞘から抜くことさえ許されていない。
「…行け。」
ガルドは低く呟いた。
ジアの瞳が本気だと悟ったからだった。
チャーリーがこのままジアの方に向かってくれば、確実に喉に刺さるような角度でチャーリーに向けられている。
チャーリーはごくりと息を呑んだ。
「…なるべくなら『殺し』たくない。
でも進むのを邪魔するのなら手段は選んでなんていられないわ。」
ジアの声が冷たく響く。
本当はこんなことしたくない、したくないのよ…チャーリー…ガルド。
心の中で二人の名前を呟く。
年齢が割と近い二人とは普通に話せる仲だった。
ジアを女だというだけで毛嫌いする隊のメンバーもいる中で、二人の存在はジアにとっても貴重だった。それに何より隊のメンバーに剣先を向けることは心苦しい。
手段を選ばないだなんて嘘だ。しかしそれを悟られているようではまるで進めないことも分かっている。
「あたしたちが通ったことは見なかったことにして。
それが約束できるなら剣を下ろすわ。
下ろした瞬間に襲ってきたって、あなたたちなら分かるわよね?どちらの実力が上、なのか。」
そんなことはチャーリーもガルドも分かっていた。
剣を抜くスピードも身のこなしもジアは隊の中で男に引けを取らないのだ。
二人が敵うものと言えば、パワーだけ。
この状況下においてパワーは何の役にも立たない。
つばぜり合いになった時にはパワーでジアを圧せるだろうが、今は剣を鞘から抜くことさえ許されていない。
「…行け。」
ガルドは低く呟いた。
ジアの瞳が本気だと悟ったからだった。