ハルアトスの姫君―君の始まり―
灰の残る村
* * * * *
「…報告なさい、シャリアス。」
そう言ったのはゆるいウェーブのかかった光沢のある黒髪を靡かせた女だ。
漆黒の瞳は冷たく、容姿の美しさも人を寄せ付けないレベルのものである。
「シュリ・ヴァールズの残る村…ヴィトックスに揃っております。」
「そう…。キース・シャンドルド、シュリ・ヴァールズ…魔法使いが二人。しかも魔力の特に強い者…。
それにクロハ・ローシュ…それにミア、そして…ジア。」
口元に余裕の笑みを浮かべながら次々と名前を口にする。
その姿は妖艶で、それでいてどこか酷く冷めている。
「それで…キース・シャンドルドの件の腕前は?」
「…実際に剣を交えたわけではないので経験則ではありませんが相当のものです。」
「ジアの方は?」
「彼女もまた然り、です。」
「…そう。」
「では、私はレスソルジャーの体制の立て直しに参ります。」
「…待ちなさい。」
「…何でしょうか?」
「シュリには会った?」
「いいえ。」
「…そう。」
「では、これで。」
「シャリアス。」
「何でしょう?」
「一つ、仕事を頼むわ。」
「…承知致しました。」
彼女は背筋も凍るほど冷たい笑みを浮かべてそう言った。
「…報告なさい、シャリアス。」
そう言ったのはゆるいウェーブのかかった光沢のある黒髪を靡かせた女だ。
漆黒の瞳は冷たく、容姿の美しさも人を寄せ付けないレベルのものである。
「シュリ・ヴァールズの残る村…ヴィトックスに揃っております。」
「そう…。キース・シャンドルド、シュリ・ヴァールズ…魔法使いが二人。しかも魔力の特に強い者…。
それにクロハ・ローシュ…それにミア、そして…ジア。」
口元に余裕の笑みを浮かべながら次々と名前を口にする。
その姿は妖艶で、それでいてどこか酷く冷めている。
「それで…キース・シャンドルドの件の腕前は?」
「…実際に剣を交えたわけではないので経験則ではありませんが相当のものです。」
「ジアの方は?」
「彼女もまた然り、です。」
「…そう。」
「では、私はレスソルジャーの体制の立て直しに参ります。」
「…待ちなさい。」
「…何でしょうか?」
「シュリには会った?」
「いいえ。」
「…そう。」
「では、これで。」
「シャリアス。」
「何でしょう?」
「一つ、仕事を頼むわ。」
「…承知致しました。」
彼女は背筋も凍るほど冷たい笑みを浮かべてそう言った。