ハルアトスの姫君―君の始まり―
* * *
ジアがヒトに戻り、ミアが猫になったその日。
事件は起きる。
何の変哲もない夜が、その日だけはどこか違った。
「…風、強くない?」
「だな。…なんか妙だ。」
「…クロハ、お前、魔力が宿っていたりしないか?」
「はぁ?なんで…?」
「時々妙に鋭いな。今日は風が違う。
…なぁ、キース。」
「そうですね。風の香りが…ヴィトックスのものではない。」
「正確な判断だ。」
クスリと妖艶に口元に笑みを浮かべるシュリ。
キースは少しだけ気まずそうに笑みを零した。
「あたし、外見てくるよ。」
ソファーから離れ、ドアに触れた。
ゆっくりとドアを開け、外の空気を吸い込んだ。
「…っ…。」
「ダメだジア!」
キースの鋭い声が耳に届いてるのに、身体が動かない不思議な感覚。
…動けない。身体が傾いでいく。
それなのに、手すら出ない。
ジアがヒトに戻り、ミアが猫になったその日。
事件は起きる。
何の変哲もない夜が、その日だけはどこか違った。
「…風、強くない?」
「だな。…なんか妙だ。」
「…クロハ、お前、魔力が宿っていたりしないか?」
「はぁ?なんで…?」
「時々妙に鋭いな。今日は風が違う。
…なぁ、キース。」
「そうですね。風の香りが…ヴィトックスのものではない。」
「正確な判断だ。」
クスリと妖艶に口元に笑みを浮かべるシュリ。
キースは少しだけ気まずそうに笑みを零した。
「あたし、外見てくるよ。」
ソファーから離れ、ドアに触れた。
ゆっくりとドアを開け、外の空気を吸い込んだ。
「…っ…。」
「ダメだジア!」
キースの鋭い声が耳に届いてるのに、身体が動かない不思議な感覚。
…動けない。身体が傾いでいく。
それなのに、手すら出ない。