ハルアトスの姫君―君の始まり―
【キースside】


「お前と私だけがこうならないのは、そういうことだからなのだろう。」


シュリ様の声に反応し、ゆっくりと振り返る。
ソファーの上にはミア、そしてクロハがいる。ジア同様、その目は閉じている。
3人に共通するのは苦しそうな表情、そして目を閉じているということだった。


「…『ブレイジリアス』…古い魔法ですね。」

「魔力故に悪夢を見ずに済んだだけの話だな。私達は。」

「そのようです。」

「しかし…この香りは…。」


邪気とも少し違う空気。もっとどこか禍々しい。
内に秘めていた何かがそれこそ『爆発』したような。


バァン…!バンバン…!
遠くで何かが爆発した音が聞こえる。


「シュリ様!」

「…結界が破られた。それこそ『ブレイジリアス』に。」

「村が燃えてしまいます!」

「手は尽くそう。お前もやるな?」

「…もちろんです。」


眠るジアを別のソファーに降ろし、家を飛び出した。

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