ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ジョアンナ…あのジョアンナ…か?」


ジョアンナ。
俺の知るジョアンナかどうかを問うために言葉を発した。


「ジョアンナ様はこの世に一人しかおられません。
世界一の魔力を持つ、美しい魔女です。」

「なぜお前がジョアンナに付き従う?」

「ジョアンナ様が我が主だからです。」

「…そうか。もうお前はお前ではないのだな、シャリアス。」

「仰る意味が分かりません。」

「そうだな。言葉を間違えた。
『もうあの日のお前はこの世にいない』。」

「…理解しかねます。」


ジアの言っていたことが不意に蘇る。
シュリ様に異変が起きた時、ジアはこう言った。
『会えないの…辛い…よね?』と。
誰が誰ととまでは言わなかったけれど、分かる。
それはシュリ様とシャリアスのことだった、と。


「何故、ブレイジリアスなんてものを使ったんだ?」

「もちろん見ての通りです。
この村を灰に変えるためですよ。」


悪びれた様子もなく笑顔のままそう言ってのけたシャリアスに、シュリ様が鋭い眼差しを向けた。

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