ハルアトスの姫君―君の始まり―
「それが真の理由ではないな。本来の目的は別にあるはず。
お前はあえて、キースの心を抉る発言をしている。」
そう強く言い放ったのはシュリ様だった。
その目はなお鋭く、瞳に宿る殺気だけでシャリアスを殺せそうなほどだった。
「そういう部分がないとは言い切れませんね。
あなた方二人を消したい、と言った方が適切かと。」
「消せぬと分かっていても燃やしたのは何故だ?」
「…僕の話聞いてました?」
「無論、聞いていた。
ジョアンナの生み出したブレイジリアスは確かに私の村全体に張っていた結界を破った。
がしかし、所詮は灰から生まれたブレイジリアスに私やキースを殺せるとは、お前もジョアンナも思ってはいまい。
たとえお前の風をブレイジリアスの炎に重ねたとしてもだ。
そこまで己の力を過信するほど落ちぶれてはいないだろう?」
ふっと苦笑を零し、それでも妙な笑顔を張りつけたまま、シャリアスは口を開く。
「…さすがですね。
でも僕は何でも知っているわけではありません。燃やしたのは燃やせと言われたからです。
これがあなた方の欲しがった答えですよ。」
…違う。こんな答えが欲しかったんじゃない。
頭の中では咄嗟にそんな反発が浮かんだ。
それでもぐっと抑え、自分の中に押し込める。
「キース・シャンドルド。」
不意にシャリアスが名を呼んだ。
お前はあえて、キースの心を抉る発言をしている。」
そう強く言い放ったのはシュリ様だった。
その目はなお鋭く、瞳に宿る殺気だけでシャリアスを殺せそうなほどだった。
「そういう部分がないとは言い切れませんね。
あなた方二人を消したい、と言った方が適切かと。」
「消せぬと分かっていても燃やしたのは何故だ?」
「…僕の話聞いてました?」
「無論、聞いていた。
ジョアンナの生み出したブレイジリアスは確かに私の村全体に張っていた結界を破った。
がしかし、所詮は灰から生まれたブレイジリアスに私やキースを殺せるとは、お前もジョアンナも思ってはいまい。
たとえお前の風をブレイジリアスの炎に重ねたとしてもだ。
そこまで己の力を過信するほど落ちぶれてはいないだろう?」
ふっと苦笑を零し、それでも妙な笑顔を張りつけたまま、シャリアスは口を開く。
「…さすがですね。
でも僕は何でも知っているわけではありません。燃やしたのは燃やせと言われたからです。
これがあなた方の欲しがった答えですよ。」
…違う。こんな答えが欲しかったんじゃない。
頭の中では咄嗟にそんな反発が浮かんだ。
それでもぐっと抑え、自分の中に押し込める。
「キース・シャンドルド。」
不意にシャリアスが名を呼んだ。