ハルアトスの姫君―君の始まり―
「決心は変わらぬ、か。」
「はい。」
「お前はお前の道があるからな。
お前が決めたことに口出しする権利も、ましてやそれを捻じ曲げる権利も私にはない。
この世の誰にも、そんな権利はない。」
「…仰る通りです。」
「お前には村を一度守ってもらった借りがある。
それを魔力封印の魔法で返そう。」
「ありがとうございます。」
深々と頭を下げた。
「僅かばかりの自我は残る。私の魔力と共に。
だが、ジョアンナの操り方によって、目的は忘れるかもしれない。
そしてある条件下において、お前の封印された魔力は元に戻る。
これで良いな?」
「はい。」
「もう一度だけ訊く。
本当にここを去り、ハルアトスに向かうのだな?」
「…はい。」
「その瞳に嘘は見えない。
ならば願いを叶えよう。」
シュリ様が両手に力を集め始める。
赤紫色の長い髪がふわふわと浮き始める。
「ジアを…守ってください。」
最後に俺が俺であるうちに言い残したいのはたったそれだけだった。
いつか笑顔に辿り着けるように、どうか守ってもらいたい。
傍にいて守ることは、俺にはできないことだから。
シュリ様の手から放たれた光の玉が薄く広がって俺を包む。
そしてそこで、俺の俺としての意識は途切れた。
「はい。」
「お前はお前の道があるからな。
お前が決めたことに口出しする権利も、ましてやそれを捻じ曲げる権利も私にはない。
この世の誰にも、そんな権利はない。」
「…仰る通りです。」
「お前には村を一度守ってもらった借りがある。
それを魔力封印の魔法で返そう。」
「ありがとうございます。」
深々と頭を下げた。
「僅かばかりの自我は残る。私の魔力と共に。
だが、ジョアンナの操り方によって、目的は忘れるかもしれない。
そしてある条件下において、お前の封印された魔力は元に戻る。
これで良いな?」
「はい。」
「もう一度だけ訊く。
本当にここを去り、ハルアトスに向かうのだな?」
「…はい。」
「その瞳に嘘は見えない。
ならば願いを叶えよう。」
シュリ様が両手に力を集め始める。
赤紫色の長い髪がふわふわと浮き始める。
「ジアを…守ってください。」
最後に俺が俺であるうちに言い残したいのはたったそれだけだった。
いつか笑顔に辿り着けるように、どうか守ってもらいたい。
傍にいて守ることは、俺にはできないことだから。
シュリ様の手から放たれた光の玉が薄く広がって俺を包む。
そしてそこで、俺の俺としての意識は途切れた。