ハルアトスの姫君―君の始まり―
自分を変えること
* * *
あぁ、また同じ夢を見ているのかな。
どんどん遠ざかっていく背中。追い掛けても届かない距離。
「…っ…!」
思い切り身体を起こしてみたものの、頭がジンジンと痛い。
痛みはやはり、涙から来ていたようだった。
頬が少しパリパリしている。
涙の筋が痛々しいくらい残っていた。
どうして朝が来るのだろう。
どうして夢は夢のままでいてくれないのだろう。
そんな答えのないような問いを頭で繰り返しては、『彼』がもういないことを痛感する。
コンコン。
不意にドアが叩かれた。
「…はい…らないで…。」
声にならない声でそう言った。
それでもノックをした本人はドアを開け、そのまま部屋の中へと足を進めた。
「酷い顔だ、ジア。」
「っ…シュリ…。」
赤紫の髪が朝の光に照らされて眩しい。
目が眩みそうだった。
「どれだけ泣いても、涙が枯れることなど決してない。
人間の身体は多少なりとも心とシンクロしているが、それでも想いとは裏腹に生きようとする。
どれだけ死にたいと叫んでも、身体は動く。とても正常に。」
残酷な話だけれど、それは事実だった。
あぁ、また同じ夢を見ているのかな。
どんどん遠ざかっていく背中。追い掛けても届かない距離。
「…っ…!」
思い切り身体を起こしてみたものの、頭がジンジンと痛い。
痛みはやはり、涙から来ていたようだった。
頬が少しパリパリしている。
涙の筋が痛々しいくらい残っていた。
どうして朝が来るのだろう。
どうして夢は夢のままでいてくれないのだろう。
そんな答えのないような問いを頭で繰り返しては、『彼』がもういないことを痛感する。
コンコン。
不意にドアが叩かれた。
「…はい…らないで…。」
声にならない声でそう言った。
それでもノックをした本人はドアを開け、そのまま部屋の中へと足を進めた。
「酷い顔だ、ジア。」
「っ…シュリ…。」
赤紫の髪が朝の光に照らされて眩しい。
目が眩みそうだった。
「どれだけ泣いても、涙が枯れることなど決してない。
人間の身体は多少なりとも心とシンクロしているが、それでも想いとは裏腹に生きようとする。
どれだけ死にたいと叫んでも、身体は動く。とても正常に。」
残酷な話だけれど、それは事実だった。