ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ヒトでは…ない…?」

「そう。会えば君も分かるよ。ハルアトス城の支配が誰にあるのか。」


そう言って微笑むシャリアスに身体ではなく心が凍りつく。
支配が誰にあるかなど、空気で感じる。


この城にはイキモノの気配が少なすぎる。


「…今日はもうこのぐらいでいいだろう。
君の部屋に案内するよ、キース。」


冷たい道を抜け、牢に鍵を掛ける。
死した身体を置き去りにして。





足音だけがただ響く。
長い長い廊下に二人の魔法使いの足音だけが。





ぴたりと、シャリアスが足を止めた。
恭しく腰を折り、口を開く。










「これはこれは国王陛下、それに王妃様。」

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