ハルアトスの姫君―君の始まり―
まだそんなに年老いた印象のない男女。
国王はかつては金色だったであろう髪が一部、白に染まりつつあった。
短く柔らかい髪が少し前に垂れていて、そこから見える目はどこを見ているのか分からない。
王妃は銀色のウェーブのかかった長い髪が国王と同様に一部白に染まっていた。
艶はどこにもなく、虚ろな目、そして表情は…
―――無、だった。
〝生〟など感じられない。そこにあるのは、〝無〟だ。
「ご公務の方はもうお済みになられたのですか?」
「…。」
小さく頷くだけの、白く細い顔。
これが…国王…?国を治める、頂点に立つ男…?
「随分お疲れのようですね、早くお休みになられてください。」
「…。」
物言わぬ、ヒトらしい雰囲気など何一つ醸し出さないイキモノ。
それが国王と王妃だった。
王妃の長い髪が一瞬、キースの身体に触れた。
「…っ…!」
「…どうかしましたか?」
「いえ、何も。」
「さぁ、部屋へと急ぎましょう。」
…〝生〟なきイキモノ。
少なくとも王妃の身体は生きてなどいなかった。
国王はかつては金色だったであろう髪が一部、白に染まりつつあった。
短く柔らかい髪が少し前に垂れていて、そこから見える目はどこを見ているのか分からない。
王妃は銀色のウェーブのかかった長い髪が国王と同様に一部白に染まっていた。
艶はどこにもなく、虚ろな目、そして表情は…
―――無、だった。
〝生〟など感じられない。そこにあるのは、〝無〟だ。
「ご公務の方はもうお済みになられたのですか?」
「…。」
小さく頷くだけの、白く細い顔。
これが…国王…?国を治める、頂点に立つ男…?
「随分お疲れのようですね、早くお休みになられてください。」
「…。」
物言わぬ、ヒトらしい雰囲気など何一つ醸し出さないイキモノ。
それが国王と王妃だった。
王妃の長い髪が一瞬、キースの身体に触れた。
「…っ…!」
「…どうかしましたか?」
「いえ、何も。」
「さぁ、部屋へと急ぎましょう。」
…〝生〟なきイキモノ。
少なくとも王妃の身体は生きてなどいなかった。