ハルアトスの姫君―君の始まり―
「…分かったようですね。」
国王と王妃とすれ違った後、誰もいない廊下でシャリアスがそう呟いた。
「王妃に触れて、全て見えたのではないですか?」
「…王妃は亡くなっているのですか?」
「いいえ。亡くなってなどいません。
たとえ〝生〟を感じられなかったとしても。」
「…生きてはいなかった…。」
「ええ。ですが生きていないイコール死ではないのです。
〝生〟を感じられない、〝生〟を内在してはいないとしても、それが死ではない。」
〝生〟でも〝死〟でもない。
ならばこの存在を何と呼ぶのだろう?
「いずれ分かる。時が来れば。
…そしてその時は近いよ。」
「…どういう意味ですか?」
シャリアスは一度笑いを含んで、そのままゆっくりと言葉を吐き出した。
「全てが終わる。世界の終わりは近いんだ、とてもね。」
国王と王妃とすれ違った後、誰もいない廊下でシャリアスがそう呟いた。
「王妃に触れて、全て見えたのではないですか?」
「…王妃は亡くなっているのですか?」
「いいえ。亡くなってなどいません。
たとえ〝生〟を感じられなかったとしても。」
「…生きてはいなかった…。」
「ええ。ですが生きていないイコール死ではないのです。
〝生〟を感じられない、〝生〟を内在してはいないとしても、それが死ではない。」
〝生〟でも〝死〟でもない。
ならばこの存在を何と呼ぶのだろう?
「いずれ分かる。時が来れば。
…そしてその時は近いよ。」
「…どういう意味ですか?」
シャリアスは一度笑いを含んで、そのままゆっくりと言葉を吐き出した。
「全てが終わる。世界の終わりは近いんだ、とてもね。」