ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ったくジアは言い出したらきかねぇんだ…。」

「いつもごめんね、巻き込んで。」

「…おれが選んだんだ、巻き込まれることをな。」

「にゃあー。」

「異論はないな。」


強く頷いた。
クロハがそれに応じて小さく頷き、ミアがジアの足元にすっと寄った。


「移動は箒だ。
この人数をハルアトスまで瞬間移動させるのは、できないことはないがしたくはない。」

「…なんでだよ?」

「魔力の消耗が大きい。いざという時に使えなくては魔力の意味がない。」

「シュリの力は極力使わないで。
ハルアトスに着いてから…それも本当にピンチの時だけお願い。」

「分かっている。」

「じゃあ…行きましょう。」

「ジア、そしてミアはこれに乗れ。」


ジアの手に渡されたのは一本の綺麗な箒だった。


「ミア、あたしの肩に爪立ててね?」

「みゃ。」

「クロハは私の後ろに乗れ。」

「…安全運転にしろよ?」

「私を誰だと思っているんだ?
というか逆に問うが、もしかして高所恐怖症か?」

「んなわけねぇだろ!」

「まったく…じゃあ何をとやかく言うんだお前は…。」

「うるせぇ!」

「もう!喧嘩しないで!で、シュリ。これはどう乗ればいいの?」

「好きに乗れ。浮かせるのは私の魔力だ。」


そう言うと、シュリは小さく口角を上げた。

< 227 / 424 >

この作品をシェア

pagetop