ハルアトスの姫君―君の始まり―
「キース…なの…?」
戸惑う声が頭上から降って来て、さらに戸惑う。いっそ謝ってしまえば良いような気もするし、それではあまりに安易だとも思えた。
そんな中で自然と口をついて出た言葉は…
「ジアには敵わない、本当に。」
「え…?」
最後まで信じ抜く強さ、それは俺にはないものだからこそとても眩しくて、つい目を背けたくなってしまうものだった。そう思う気持ちは根本的には今でもあまり変わらないのに、背けることができないのは君に憧れているからなのだと思えば腑に落ちる。
俺は君に憧れていた。出会ってきっとすぐに。
守るなんておこがましい。守られていたのはいつだって俺の方だった。
〝俺〟は殺す気でいた。内側の〝俺〟はそれを止めたかった。そこまでの自我を保つことは結果としてできなかった。…それは俺の弱さだ。
どんなに〝操られた俺〟に刃を向けられても殺気を返しては来なかった。
ジアはこんなにも真っすぐに信じてくれていた。
自分の不甲斐なさに涙が出た。
それを追うように頭上からもジアの涙が落ちてくる。多分、瞬きをしたのであろう。
俺とジアの涙が溶け合って、床に吸い込まれる。
その瞬間、床が眩い光を帯びた。
戸惑う声が頭上から降って来て、さらに戸惑う。いっそ謝ってしまえば良いような気もするし、それではあまりに安易だとも思えた。
そんな中で自然と口をついて出た言葉は…
「ジアには敵わない、本当に。」
「え…?」
最後まで信じ抜く強さ、それは俺にはないものだからこそとても眩しくて、つい目を背けたくなってしまうものだった。そう思う気持ちは根本的には今でもあまり変わらないのに、背けることができないのは君に憧れているからなのだと思えば腑に落ちる。
俺は君に憧れていた。出会ってきっとすぐに。
守るなんておこがましい。守られていたのはいつだって俺の方だった。
〝俺〟は殺す気でいた。内側の〝俺〟はそれを止めたかった。そこまでの自我を保つことは結果としてできなかった。…それは俺の弱さだ。
どんなに〝操られた俺〟に刃を向けられても殺気を返しては来なかった。
ジアはこんなにも真っすぐに信じてくれていた。
自分の不甲斐なさに涙が出た。
それを追うように頭上からもジアの涙が落ちてくる。多分、瞬きをしたのであろう。
俺とジアの涙が溶け合って、床に吸い込まれる。
その瞬間、床が眩い光を帯びた。