ハルアトスの姫君―君の始まり―
覚醒
* * *
「っ…眩しい…。」
「満身創痍、とまではいかなかったようだな、ジア。」
眩しさに目が開けられなかったものの、徐々に慣れてきたため、ジアはゆっくりと目を開けた。そこには漆黒の魔女がいた。
「ジョアンナ…。」
戻って来たのは最初の場所。ジョアンナと話をしていた塔の一番上。
窓辺に佇むジョアンナは悪寒が走る程に冷たい表情を浮かべている。
「これで役者が揃った。なぁ、シュリよ。」
「シュリ!それにシャリアス…?」
ジョアンナが向けた視線の先に、壁に手をあてて身体を支えながら立ち上がるシュリと、その隣にはシャリアスがいた。
「満身創痍とはこっちを指すな。」
「貴様も表情が芳しくないぞ。」
「それは仕方のないことだろう?手駒が呆気なく二つもそちらの手に落ちたのだからな。
いい身分だな、シャリアス。お前の命を拾ってやったのは私だぞ?それなのに過去の女に戻ろうというのか…?随分と図々しい奴だ。」
「っ…。」
シャリアスの表情がさらに重く落ちていく。
そんなシャリアスの前にシュリがすっと進み出た。
「お前に乱された人生を、シャリアスは取り戻しただけだ。
それをお前にとやかく言われる筋合いはない。」
「いつになく険しい表情だな。それも愛、故に…か?くだらぬ。
さぁ、コソコソしていないで入ってきたらどうだ、第二王位継承者、ミア・ウォリティアヌ・ハルアトス。」
「え…ミア…?」
その場にいた全員の目がこの部屋唯一の扉へと移る。
扉がギィと小さく音を立てて内側に開いた。
「っ…眩しい…。」
「満身創痍、とまではいかなかったようだな、ジア。」
眩しさに目が開けられなかったものの、徐々に慣れてきたため、ジアはゆっくりと目を開けた。そこには漆黒の魔女がいた。
「ジョアンナ…。」
戻って来たのは最初の場所。ジョアンナと話をしていた塔の一番上。
窓辺に佇むジョアンナは悪寒が走る程に冷たい表情を浮かべている。
「これで役者が揃った。なぁ、シュリよ。」
「シュリ!それにシャリアス…?」
ジョアンナが向けた視線の先に、壁に手をあてて身体を支えながら立ち上がるシュリと、その隣にはシャリアスがいた。
「満身創痍とはこっちを指すな。」
「貴様も表情が芳しくないぞ。」
「それは仕方のないことだろう?手駒が呆気なく二つもそちらの手に落ちたのだからな。
いい身分だな、シャリアス。お前の命を拾ってやったのは私だぞ?それなのに過去の女に戻ろうというのか…?随分と図々しい奴だ。」
「っ…。」
シャリアスの表情がさらに重く落ちていく。
そんなシャリアスの前にシュリがすっと進み出た。
「お前に乱された人生を、シャリアスは取り戻しただけだ。
それをお前にとやかく言われる筋合いはない。」
「いつになく険しい表情だな。それも愛、故に…か?くだらぬ。
さぁ、コソコソしていないで入ってきたらどうだ、第二王位継承者、ミア・ウォリティアヌ・ハルアトス。」
「え…ミア…?」
その場にいた全員の目がこの部屋唯一の扉へと移る。
扉がギィと小さく音を立てて内側に開いた。