ハルアトスの姫君―君の始まり―
「にゃ!(見て!)」
ミアの鳴き声に反応して天井を見つめると、握り拳一つ分くらいの白い結晶がゆっくりと降りてきた。優しく淡い光を放ちながら文字盤の2のところに溶けていく。
『優しき人間たちの涙が2の時を癒す』
巨大時計から発せられた言葉に呼応するように舞い降りたのは黒い結晶だった。強くも美しい光を放ち、白い結晶と同様に文字盤に溶けていく。今度は10の数字がはっきりとその輪郭を取り戻す。
『気高き魔法使いたちの涙が10の時を癒す』
最後に降りて来たのは透明な結晶だ。繊細で汚れのない光を放ち、文字盤に溶けていく。6の数字が鮮明に見えた瞬間に、巨大時計の中央から声が響く。
『純真な人間と聡明な魔法使いの涙が6の時を癒す』
ぱぁっと急激に光に包まれる巨大時計の中心部に小さな黒い穴ができる。
「…な…なに…?」
「分かんねぇ!」
「何か…出てきた…?」
「っ…!」
「ジア!?」
ジアの身体が力を失ったかのような頼りない動きのまま、時計の中央に立つ。ミアの身体もふわりと浮き上がり、同じくジアの隣に立つ。
「…おい、キース。何が起ころうとしてる…?」
「…分からない。でも、止めようはない。ジアもミアも…自我がない…?」
『我、眠りから覚め、歪みは正された。』
重く響く時計の声が塔の中を木霊した。
ミアの鳴き声に反応して天井を見つめると、握り拳一つ分くらいの白い結晶がゆっくりと降りてきた。優しく淡い光を放ちながら文字盤の2のところに溶けていく。
『優しき人間たちの涙が2の時を癒す』
巨大時計から発せられた言葉に呼応するように舞い降りたのは黒い結晶だった。強くも美しい光を放ち、白い結晶と同様に文字盤に溶けていく。今度は10の数字がはっきりとその輪郭を取り戻す。
『気高き魔法使いたちの涙が10の時を癒す』
最後に降りて来たのは透明な結晶だ。繊細で汚れのない光を放ち、文字盤に溶けていく。6の数字が鮮明に見えた瞬間に、巨大時計の中央から声が響く。
『純真な人間と聡明な魔法使いの涙が6の時を癒す』
ぱぁっと急激に光に包まれる巨大時計の中心部に小さな黒い穴ができる。
「…な…なに…?」
「分かんねぇ!」
「何か…出てきた…?」
「っ…!」
「ジア!?」
ジアの身体が力を失ったかのような頼りない動きのまま、時計の中央に立つ。ミアの身体もふわりと浮き上がり、同じくジアの隣に立つ。
「…おい、キース。何が起ころうとしてる…?」
「…分からない。でも、止めようはない。ジアもミアも…自我がない…?」
『我、眠りから覚め、歪みは正された。』
重く響く時計の声が塔の中を木霊した。