ハルアトスの姫君―君の始まり―
【キースside】


ゴーンゴーンと鳴り響く巨大時計。
その音が大きくなるにつれてジアたちの身体が地上を離れ、浮かび上がる。


「ジアっ…!」

「キース!だめだ…今は誰にも…触れられない。」

「っ…。」


分かっていた。何が起こるかは分からないということも。
ただ、浄化作用の中には呪いについても記載があった。だからこそ、この手段を取った。選んだのはジアでもミアでもなく自分だ。


浮かび上がったジアは虚ろな目をしていた。それはミアも然りだ。


『呪われし姫君に光を授けよう』


低い声でそう言われたその瞬間、ミアが光に包まれる。


「っ…んだこれっ…見えねぇっ…!…ミア…!」


クロハの必死な叫びが塔の中で反響する。










「…クロ…ハ…?」


いつか聞いた声が聞こえる。
ゆっくりと目を開けると、銀色のウェーブがかった長い髪が揺れた。


「…ミア…?…ミア…なのか…?」

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