ハルアトスの姫君―君の始まり―
地面についた足は裸足で、ひたひたという音と共にゆっくりとその足はクロハの方へと向かっていた。
「…呪いが…解けた…?」
「戻ってる…ミア!お前ちゃんと…戻ってるぞ!目も、身体も…何もかも…!」
「クロハ!」
「させん!」
クロハに駆け寄ろうとしたミアを風の魔法が追いかける。
「…させない!」
その風に雷が落ちる。
―――放ったのはシュリ様だった。
その隙をついてクロハがミアをぎゅっと抱きしめる。
そして俺は抱き合う二人の前に立つ。
「…あなたが欲しいのはミアの力じゃない。違いますか?」
「〝本当に欲しい〟のはどちらかと問われれば、それは間違いなくジアの方だ。だが…力は大いに越したことは…ない!」
「っ…!」
飛んでくる炎を斬り裂く。斬り裂かれた炎はすぐには消えず、辺りに散らばっていく。物の焦げる臭いがする。
剣では分が悪い、そう判断し、指先に水の力を溜める。
「魔力がまだ残っているとは…お前の魔力も底なしだな。」
「…魔力が底なしの魔法使いなんて存在しない。
そして、あなたにこれ以上力を与える気もない。」
『姫君の呪いは消え去った。』
そこまでは巨大時計の声だった。だが、そこからは声色が変わる。
『我が力、全ての時を超越する。』
「…ジア…?」
問い掛けたジアの目は変わらず虚ろなままだった。
「…呪いが…解けた…?」
「戻ってる…ミア!お前ちゃんと…戻ってるぞ!目も、身体も…何もかも…!」
「クロハ!」
「させん!」
クロハに駆け寄ろうとしたミアを風の魔法が追いかける。
「…させない!」
その風に雷が落ちる。
―――放ったのはシュリ様だった。
その隙をついてクロハがミアをぎゅっと抱きしめる。
そして俺は抱き合う二人の前に立つ。
「…あなたが欲しいのはミアの力じゃない。違いますか?」
「〝本当に欲しい〟のはどちらかと問われれば、それは間違いなくジアの方だ。だが…力は大いに越したことは…ない!」
「っ…!」
飛んでくる炎を斬り裂く。斬り裂かれた炎はすぐには消えず、辺りに散らばっていく。物の焦げる臭いがする。
剣では分が悪い、そう判断し、指先に水の力を溜める。
「魔力がまだ残っているとは…お前の魔力も底なしだな。」
「…魔力が底なしの魔法使いなんて存在しない。
そして、あなたにこれ以上力を与える気もない。」
『姫君の呪いは消え去った。』
そこまでは巨大時計の声だった。だが、そこからは声色が変わる。
『我が力、全ての時を超越する。』
「…ジア…?」
問い掛けたジアの目は変わらず虚ろなままだった。