ハルアトスの姫君―君の始まり―
歪みを生んだ人
【キースside】
暗くて重い空間にぽつりぽつりと灯される炎が浮かぶ。それがこの空間唯一の灯りだ。
上を見上げればまだ小さな穴が見える。どうやら穴を塞がないようにシュリ様を筆頭としたみんなが奮闘してくれているようだ。穴の大きさが縮んだのか、それとも穴があれほど小さく見えるほど落下したのか、その点については地面に足を付けたときにあまりに衝撃がなかったため、測りかねている。
「っ…あっ…!」
ジアが放つ光と気に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられるジョアンナが目に入る。今のジアはどんなものも〝寄せつけない〟
「ジア。」
『……』
返事はない。虚ろな目のままの彼女の周りを、光と風が舞う。
追っては来たものの、シュリ様に言われた通り、何か解決策を持っているわけじゃない。ただ直感的にこの状態がこの後ずっと続いていくことが良くないと感じているだけだ。
ジアは〝覚醒〟している。本来は成長と共に伸びゆく強大な力を、徐々に使いこなす術を身につけていくはずだった。しかし、故意にその力が分断され、尚且つこうして一度に全ての力が戻って来てしまった。
「…時と共に増幅する力が…ジアには抑え込めない…?」
「くっ…小娘…!」
「っ…だめだ!」
ジョアンナの指先から発せられた炎がジアを包む風へと向かっていく。
―――まずい、爆発する…!
「下がれっ…!」
「っ…!」
…反射みたいに身体が動いた。ジアとジョアンナの間に自然と立つ身体。
「うああああっ…!」
俺の〝水〟は少し間に合わなかった。
暗くて重い空間にぽつりぽつりと灯される炎が浮かぶ。それがこの空間唯一の灯りだ。
上を見上げればまだ小さな穴が見える。どうやら穴を塞がないようにシュリ様を筆頭としたみんなが奮闘してくれているようだ。穴の大きさが縮んだのか、それとも穴があれほど小さく見えるほど落下したのか、その点については地面に足を付けたときにあまりに衝撃がなかったため、測りかねている。
「っ…あっ…!」
ジアが放つ光と気に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられるジョアンナが目に入る。今のジアはどんなものも〝寄せつけない〟
「ジア。」
『……』
返事はない。虚ろな目のままの彼女の周りを、光と風が舞う。
追っては来たものの、シュリ様に言われた通り、何か解決策を持っているわけじゃない。ただ直感的にこの状態がこの後ずっと続いていくことが良くないと感じているだけだ。
ジアは〝覚醒〟している。本来は成長と共に伸びゆく強大な力を、徐々に使いこなす術を身につけていくはずだった。しかし、故意にその力が分断され、尚且つこうして一度に全ての力が戻って来てしまった。
「…時と共に増幅する力が…ジアには抑え込めない…?」
「くっ…小娘…!」
「っ…だめだ!」
ジョアンナの指先から発せられた炎がジアを包む風へと向かっていく。
―――まずい、爆発する…!
「下がれっ…!」
「っ…!」
…反射みたいに身体が動いた。ジアとジョアンナの間に自然と立つ身体。
「うああああっ…!」
俺の〝水〟は少し間に合わなかった。