ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ぐっ…。」
水で咄嗟にガードを張り、尚且つ爆発に対しても水を被せたが、それよりも爆発の力がはるかに上回った。爆風に吹き飛ばされジョアンナ同様地面に強く叩きつけられる。髪から水が滴った。
腕の火傷がズキズキと痛い。顔が苦痛に歪んでいるのは鏡を見なくても分かっている。
「ジアっ…。」
なんとか立ち上がり、彼女に手を伸ばす。
―――再び吹き飛ばされてしまう、…だろうか?
真っすぐにジアの金の両目を見つめる。こうして正面から見つめるのは…呪いが解けてからは初めてかもしれない。
不意に今まで焦点の定まっていなかった瞳の奥に〝何か〟が戻ったような気がした。そのせいなのかは分からないが、少し浮かんでいた彼女の身体がゆっくりと地上に降りてくる。
「ジア?」
〝気がした〟じゃない。戻っている。少なくとも〝今〟は。
「…キース…。」
今、確かに彼女は俺の名を呼んだ。
―――自我が戻って、きた。
「ジア…!」
さらに手を伸ばし、細い指先に触れた。
そしてそのまま手を引き、ぎゅっとその身体を抱きしめる。
水で咄嗟にガードを張り、尚且つ爆発に対しても水を被せたが、それよりも爆発の力がはるかに上回った。爆風に吹き飛ばされジョアンナ同様地面に強く叩きつけられる。髪から水が滴った。
腕の火傷がズキズキと痛い。顔が苦痛に歪んでいるのは鏡を見なくても分かっている。
「ジアっ…。」
なんとか立ち上がり、彼女に手を伸ばす。
―――再び吹き飛ばされてしまう、…だろうか?
真っすぐにジアの金の両目を見つめる。こうして正面から見つめるのは…呪いが解けてからは初めてかもしれない。
不意に今まで焦点の定まっていなかった瞳の奥に〝何か〟が戻ったような気がした。そのせいなのかは分からないが、少し浮かんでいた彼女の身体がゆっくりと地上に降りてくる。
「ジア?」
〝気がした〟じゃない。戻っている。少なくとも〝今〟は。
「…キース…。」
今、確かに彼女は俺の名を呼んだ。
―――自我が戻って、きた。
「ジア…!」
さらに手を伸ばし、細い指先に触れた。
そしてそのまま手を引き、ぎゅっとその身体を抱きしめる。