ハルアトスの姫君―君の始まり―
「あ…あんたが失礼極まりないこと言うからよ!」
戸惑いをどうにか隠しながらジアはなんとか言葉を振り絞った。
「…『あんた』じゃない。キース、それが俺の名前。」
「キース…?」
そう名乗った男の焦げ茶色の瞳にはやはり優しさが灯っていた。
「君の名を教えてくれないか?」
「…ジア。」
キースの目は穏やかなままだった。
「おれはクロハだ。お前の傷を治したのはおれだからな!」
「クロハ…。なるほど…優秀な医者なんだね。でも肩の矢は…。」
キースは不思議そうに左肩をさすった。
ほぼ貫通していたのに、そんな傷が1日やそこらで治るはずがない。
「えっと…それはだな…。」
口ごもるクロハを優しい目で見つめ、少しだけ笑みを浮かべてキースは続けた。
「…言えないことなら言わなくていいよ。
どうやって治ったかなんて今更どうでもいい話だ。
ところで…その猫は?」
「ミアよ。」
「ミア…。
ジアとミアは目が逆、なんだね。」
「…っ…!」
その指摘は間違っていなかった。
戸惑いをどうにか隠しながらジアはなんとか言葉を振り絞った。
「…『あんた』じゃない。キース、それが俺の名前。」
「キース…?」
そう名乗った男の焦げ茶色の瞳にはやはり優しさが灯っていた。
「君の名を教えてくれないか?」
「…ジア。」
キースの目は穏やかなままだった。
「おれはクロハだ。お前の傷を治したのはおれだからな!」
「クロハ…。なるほど…優秀な医者なんだね。でも肩の矢は…。」
キースは不思議そうに左肩をさすった。
ほぼ貫通していたのに、そんな傷が1日やそこらで治るはずがない。
「えっと…それはだな…。」
口ごもるクロハを優しい目で見つめ、少しだけ笑みを浮かべてキースは続けた。
「…言えないことなら言わなくていいよ。
どうやって治ったかなんて今更どうでもいい話だ。
ところで…その猫は?」
「ミアよ。」
「ミア…。
ジアとミアは目が逆、なんだね。」
「…っ…!」
その指摘は間違っていなかった。